貯蓄できない人が増加、長引くパンデミックで=調査

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 金融比較サービスのリンギプラスが実施した「マレーシア人の金融行動に関する調査」によると、「まったく貯蓄ができない」と回答した人は、昨年の19%から今年は21%に増加し、31%は月に500リンギ以下の貯蓄しかできていないことがわかった。
毎月の貯金額について、「500ー1,000リンギ」との回答率は25%、「1,001ー1,500リンギ」が8%、「1,500リンギ以上」が15%。また51%が「失業したら3カ月以上生活できない」、28%が「失業しても半年は生活できる」と回答した。
ミレニアル世代(18歳ー35歳)は、より深刻な状況にあり、「失業したら1カ月以上生活できない」(全世代平均20%)との回答が24%に及び、57%が「失業したら3カ月以上生活できない」と回答。また、45%が「収入金額もしくはそれ以上の支出をしている」、55%が「退職後の生活設計をしていない」(全世代平均44%)と答えた。 貯金の目的は、63%が「緊急用資金」(昨年調査では27%)。45%が「退職後の生活のため」、41%が「旅行」、39%が「新規不動産購入」が挙がった。長引くパンデミックにより緊急資金の重要性に気づく人が増えたという。
また、クレジットカードの所有率は昨年比10ポイント以上減少し、非保有が45%となった。カード保有者の中でも複数枚持ちしている人は減少した。
退職後の生活設計については、30%が「従業員積立基金(EPF)の積立額は退職後の生活に十分ではない」と回答(昨年は15%)。所得が減少した国民の生活支援のため、EPFの一部取り崩しが許可されたことからEPFに対する意識が高まったと見られる。
「マレーシア人の金融行動に関する調査」は2018年より開始された調査で、2021年版は全国の3,033人を対象にオンラインで実施。そのうち1,518人分を人口比に沿った層別抽出により集計した。

NUMBEO都市犯罪指数ランク、クランが東南アジアワースト

【クアラルンプール】 国際データベース・サイト「NUMBEO」がこのほど発表した「都市犯罪指数(2021年中盤)」で、セランゴール州クランが東南アジア22都市中でワーストとなった
クアラルンプール(KL)もワースト3位、ジョホールバルもワースト5位、ペタリンジャヤもワースト6位と上位の多くをマレーシアの都市が占めている。
セランゴール州警察のアルジュナイディ・モハメド本部長は「クランは犯罪統計からみても安全な都市であり、同ランキングは誤解を招きかねない」と反発している。低評価が多いマレーシアの都市の中ではペナンがベスト4位と健闘している。
同ランキングによると、クランに次ぐワースト2位はマニラ。反対にベスト1位はチェンマイとなっている。なおマレーシアは、国としての犯罪指数ランキングで東南アジアでワーストとなっている。
(ベルナマ通信、光華日報、中国報、9月4日、NUMBEO発表資料)

財政赤字がGDP比7.4%に拡大、フィッチが予想

【クアラルンプール】 フィッチ・ソリューションズ・カントリー・リスク・アンド・インダストリー・リサーチは、新型コロナウイルス「Covid-19」の影響が長引いていることを考慮して、6.4%としていた2021年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を7.4%に上方修正した。
フィッチは、長期にわたるロックダウンの影響を緩和するために、マレーシア政府が歳出を増やしており、実際、政府が年末までに法定債務限度額を引き上げる計画のもとで、内閣が現在のGDP比60%から65%への引き上げを提案していると指摘。経済対策として2,050憶リンギを投じたことで、すでに政府債務が大きく膨らんでいる上、3度目の行動制限令(MCO3.0)が予想外の長期に渡っていることを考慮に入れたと説明した。
フィッチはまた、マレーシア政府の第1、2四半期の歳入は、政府の大きな財源となっている原油の国際価格が上昇しているにも関わらず、それぞれ前年同期比で6.8%、4.4%マイナスとなっていると指摘。経済が1月以来のロックダウンの影響を受けていることに起因していると考えられるとし、ロックダウンは特に小売りおよびサービス・セクターに深刻な影響を及ぼしていると分析した。
その上でフィッチは、イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相率いる新政権がワクチン接種率上昇に依存した国家復興計画(NRP)の下で経済・社会活動の正常化を急ぐ方針を示していることに注目。今後は財政支出を削減する方向に舵を切るため、2022年には大きく歳出削減に向かうと予想されるとした。
通貨リンギの為替レートの動向については、2021年の平均予測を1米ドル=4.15リンギに維持したが、2022年については従来予想の4.10リンギを4.20リンギに修正した。これについてフィッチはリンギが2021年の残りの期間にわたって下落圧力に直面し続けるだろうと指摘した。
(マレー・メイル、9月29日)

オフィス&商業施設で空室率上昇&賃料低下の傾向=中銀

【クアラルンプール】 中央銀行バンク・ネガラ(BNM)は、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大の影響で購買行動や勤務体制がeコマースや自由な働き方に移行する傾向が強まっていることを受けてオフィスやショッピングモールの空きスペースが増える傾向にあり、それに伴って賃料が下がる可能性があると分析した。
中銀は「2021年上半期金融安定性レビュー」の中で、ショッピングコンプレックスとオフィススペースの稼働率と賃貸料が引き続き低下していると指摘。首都圏クランバレーのオフィスおよび小売スペースの平均賃貸料は、2020年第3四半期以降、4四半期連続で低下しているとした。
中銀が引用した不動産ソリューションプロバイダーのジョーンズ・ラング・ウートンのデータによると、2020年第2四半期に26.4%だったオフィスの空室は同年第4四半期には27.5%に、今年第2四半期には28.6%に上昇。25.4%だった小売スペースの空室率もそれぞれ26.3%、26.4%に上昇した。
同じく中銀が引用した不動産コンサルタント、ナイト・フランク・マレーシアとサヴィルズ・マレーシアのデータによると、プライムオフィススペース、プライム小売スペースまたは首都圏の主要なショッピングコンプレックスの最も有名なショップの平均賃貸料がいずれも年率でマイナス成長となった。
中銀は、デベロッパーがいくつかのプロジェクトをキャンセルしたことで新規供給量が減ったにもかかわらず進行中のプロジェクトが完成したことで空室率が上昇したと指摘。オーナーはテナントを繋ぎ留めるために賃貸料の無料化や低減、救済策の提示などを行っているが、モールのオーナーの半数がテナントからの賃料徴収で困難に直面したと答えており、オーナー会社のキャッシュフローに影響を及ぼし続ける可能性があると指摘した。
(マレー・メイル、9月29日)

シノバック製ワクチン、新型コロナの重症化に効果=政府調査

【クアラルンプール】 マレーシア政府が実施した調査で、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンが感染症の重症化予防に効果的であることがわかった。
シノバック製ワクチンの接種を受けた約720万人のうち、新型コロナに感染して集中治療室(ICU)での治療が必要となったのはわずか0.011%だった。また米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンの接種を受けた約650万人中、0.002%がICUで治療、英アストラゼネカ製ワクチンを接種した約75万人中、0.001%となった。
臨床研究所のカライアラス・ペアリアサミー所長は、およそ126万人を対象とした調査を実施したところ、ワクチンの種類に関係なく、ワクチン接種後の入院リスクは83%ダウンしたと明らかにした。死亡リスクも88%下がり、重症化しICUでの治療が必要になる率も0.0066%に抑えることができるとし、ワクチンの有効性を強調。しかし、アストラゼネカ製ワクチン接種者の多くは成人中期で、ファイザーとシノバックの接種者は、高齢者など脆弱な年齢層が多かったことが調査結果に影響した可能性があると説明した。
シノバックのワクチンを巡ってはインドネシアやタイで接種を終えた医療従事者が感染するケースが確認されており、効果に疑問や懸念が高まっている。
(ロイター、エッジ、9月24日)

経済回復速度でマレーシアはトップ、エコノミストらが予想

【クアラルンプール】 ブルームバーグの最新の調査結果によると、多くのエコノミストらは、マレーシアについて新型コロナウイルス(Covid-19)感染症拡大の影響を最も大きく受けた国であるものの、経済の回復速度の速さでもトップクラスと予想している。
来年の成長率に関する最新予測の平均値はマレーシアは5.65%となり、上方修正率は0.85ポイントとアジア太平洋諸国の中でトップとなった。2位のインドは0.80ポイントアップの6.7%。エコノミストたちは、ほとんどのアジア諸国の成長率予測を引き上げたが、タイとニュージーランドは0.2ポイント引き下げられ、インドネシアはほぼ横這いとなった。
マレーシアは、過去1カ月間に1日あたりの新規感染率が世界最高水準となり、政権交代も行なわれたが、当面の経済リスクはないとされている。今年第2四半期の国内総生産は、内需の復興と堅調な輸出に支えられ、16.1%の大幅なプラス成長となった。インドも新規感染者数は半年以上ぶりに落ち着きつつあり、需要拡大による世界最速の成長が見込まれている。
消費者物価動向に関する調査では、ニュージーランドが最も大きく修正され、来年のインフレ率予測は0.9%増の2.3%、シンガポールとオーストラリアも少なくとも0.4%増とされた。ニュージーランドでは移民申請の受付停止により労働力不足が生じており、賃金やインフレ率の上昇に影響しているという。
(ブルームバーグ、ザ・スター電子版、9月21日)

MM2Hの新基準、長期ビザ取得者の大半が満たせず=調査

【クアラルンプール】 外国人の長期滞在を奨励するマレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)プログラムにおける長期滞在ビザ取得者のほとんどが10月から適用される新条件を満たしていないことが、MM2Hコンサルタント協会(MM2HCA)などの調査で分かった。
10月から厳格化される主要な新条件は、▽海外での収入条件(月4万リンギ)▽定期預金額(100万リンギ)▽流動資産保有額(150万リンギ)ーー。
MM2HCAは、外国人駐在員向けサービスを提供するTEGメディアおよびクアラルンプール日本人会(JCKL)とともに調査を実施。TEGメディアがMM2H長期滞在ビザ取得者925人(主に欧米諸国出身者)を対象に行った調査では、「海外での収入要件を満たせる」としたのは21%、「定期預金額条件を満たせる」と回答したのは44%、「両条件を満たせる」と答えたのは約2.26%にとどまった。JCKLが日本人退職者799人を対象に行なった調査では、90%以上が海外での収入条件を満たしていなかった。
また別の調査では、新条件が適用された場合、55%がマレーシアから撤退する予定だと回答。そのうち497人がタイに、145人がフィリピンに、119人がインドネシア・バリ島にそれぞれ移住すると答えた。
MM2HCAのアンソニー・リュー会長は、政府に対し、既存のMM2H長期滞在ビザ取得者に対しては新条件を適用しないよう求めた。長期滞在ビザ取得者の多くはマレーシアに居住し、経済にも貢献しているため、後から厳格化された条件を課すのは不公平だと主張。また、旧条件下で承認待ちだった5,396件の申請についても条件を変えず承認するよう求めた。申請が通れば、今後5年間で最大63億9千万リンギ相当の経済貢献が見込まれるという。
(フリー・マレーシア・トゥデー、9月21日)

ワクチン接種完了率、成人人口の80%を超える

【プトラジャヤ=マレーシアBIZナビ】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種完了率が21日、成人人口の80%を越えた。
マレーシア政府は、「全国新型コロナ予防接種プログラム(NCIP)」の下で10月までに、成人人口の80%に予防接種を終えるという目標を掲げていたが、前倒しで達成した。
イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、ツイッターに「おめでとう。21日正午に80%を達成した」と投稿。またカイリー・ジャマルディン保健相も「まだワクチン接種をしていない残り20%の国民が、ワクチン接種を終えられるように努める」とツイートした。
政府による新型コロナ関連情報の提供ウェブサイト「コビドナウ(Covidnow)」によると、21日午後11時59分時点で、ワクチン接種を終えたのは1,878万6,636人。全人口のワクチン接種率は57.5%となった。68.0%となる2,222万3,652人が1回目のワクチンを終えているという。

経済回復、マレーシア人の8割が2年以上かかると予想

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 国際マーケティング会社の仏系イプソス(Ipsos)マレーシアは、経済回復に関する調査結果を発表。マレーシア人の80%が自国経済が新型コロナウイルス「Covid-19」のパンデミックから回復するには少なくともあと2年はかかると考えていることがわかった。
回答者の44%が2-3年、36%が3年以上かかると回答した。世界の平均回答率は2.3年が35%、3年以上が39%、日本はそれぞれ52%、31%となった。
またマレーシア人回答者の50%は「政府が経済回復をリードすることを信じている」と回答。世界平均の34%を上回った。また消費者がリードするとの回答は17%となり、大企業(13%)や非政府組織(9%)、中小企業(5%)よりも政府が経済回復の責任を担うと考えていることがわかった。
一方で経済がパンデミックから回復していることを示す指標として、マレーシア人回答者の間で最も回答率が高かったのは、「新しいビジネスが開業すること」で回答率は84%。それに「知り合いが元の仕事に戻ったり、新しい仕事に就いたりすること」、「観光客が増えること」が続き、回答率は共に83%となった。世界の平均は、「知り合いが元の仕事に戻ったり、新しい仕事に就いたりすること」が79%、「新しいビジネスが開業すること」78%、「観光客が増えること」が72%だった。

第1四半期の住宅物件成約件数は44.7%減少=プロパティグル

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 オンライン不動産仲介業者、プロパティグルのデータ分析部門のプロパティグル・データセンスによると、2021年第1四半期の住宅物件成約件数は44.7%減少した。新型コロナウイルス「Covid-19」再流行への不安や経済成長率が予想よりも低かったことが、景況感を悪化させた。
住宅物件成約件数の61.2%は初めて物件を購入した「ファーストバイヤー」(FHB)だった。政府が推進する持ち家キャンペーン(HOC)などが奏功した。
地域別では首都圏、ジョホール州、ペナン州においてそれぞれ成約件数が、56.5%、42.7%、53.8%減少。しかしFHBの成約件数は首都圏、ジョホール州、ペナン州でそれぞれ13.2%、65.2%、0.08%増加した。
物件別ではテラスハウスが54%となり、最も成約件数が多かった。それにコンドミニアム・アパートが18%と続いた。