【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 5月31日、中国軍機16機が編隊を組んでサラワク州北方60カイリ付近の南シナ海のマレーシアの領空を侵犯し、マレーシア王立空軍機が緊急発進する事件があった。
中国軍の航空機は戦略輸送機のイリューシンil-76と西安Y-20で、マレーシア側の航空管制官に何度も指示されたにもかかわらず、交信を無視して領空付近の飛行を続けた。引き返さずにマレーシア領への接近を続けたことからマレーシア王立空軍の戦闘機が緊急発進した。マレーシア王立空軍は「国家の主権と飛行の安全に対する深刻な脅威」と中国側を批判した。
事件を受けてヒシャムディン・フセイン外相は、在マレーシア中国大使を呼んで厳重抗議すると共に事情説明を求める意向を示した。中国大使館側は通常の飛行訓練を実施したもので、他国の空域を侵すことなく国際法を厳格に遵守していると説明している。
南シナ海については、中国のほかマレーシアやインドネシア、ベトナム、フィリピンなどが領海を主張して争っている。マレーシアが主張する海域への中国側の侵犯行為は度々起きており、マレーシア会計検査院報告によると、2016年から2019年にかけて中国公船によるマレーシアの領海侵犯が89回に及んでいるという。