外国人家事労働者の新規受け入れ、年内は困難=人資相

【クアラルンプール】 現在ストップしている外国人家事労働者の新規雇用について、M.サラバナン人的資源相は、年末まで再開はないとの見通しを示した。

サラバナン氏は新型コロナウイルス「Covid-19」抑制に向けて断続的に発令されている行動制限令(MCO)によって新規の家事労働者不足が問題となっていることを認めた上で、5月に主な家事労働者の供給元であるインドネシアのアイダ・ファウジヤ労働相と行なったバーチャル会談で、出来るだけ早期の再開に向けた覚書署名について話し合ったことを公表した。

その上でサラバナン氏は、ジャカルタでのロックダウンを受けて同国との交渉が延期されており、インドネシア労働省職員からも感染者が出ていることから交渉再開はロックダウン終了後になる見込みだと言明した。

サラバナン氏によると、今年2月のムヒディン・ヤシン首相のインドネシア訪問の際、ジョコ・ウィドド大統領との会談で、覚書の早期締結に向けて合意した。マレーシアの外国人家事労働者の大部分はインドネシア人で、今年2月28日時点で7万3,173人に上っている。

(フリー・マレーシア・トゥデー、6月24日)

KLとプトラジャヤ、8月までの集団免疫獲得が可能

【クアラルンプール】 アヌアル・ムサ連邦直轄地相は、クアラルンプール(KL)とプトラジャヤでは8月までに人口の89%にワクチンを接種し、集団免疫を獲得することが可能だと述べた 。

6月21日時点で、KLとプトラジャヤのワクチン接種登録率は100%に到達。KLでは、登録者の56.16%が1回目の接種済で、10.82%が2回目の接種まで完了。プトラジャヤでは、50.34%が1回目の接種済、30.81%が2回目の接種まで完了している。

同氏によると、7月にKL、プトラジャヤ、ラブアンで6,000人以上のフード配達員および7,000人以上の商業従事者にワクチンを接種する。配達員は一般的に20代の若者が多いが、感染状況を問わず、さまざまな地域に足を踏み入れる必要があるため、顧客の安全性も考慮した上で優先する。

さらに同氏は、連邦直轄地内のホテル、工場、住宅など、すべての建物の所有者を対象に、固定資産税の5—10%の払い戻しを行なうと発表した。払い戻し率の詳細については後日別途発表する。固定資産税については現状、12月まで納税が猶予されており、分割払いも認められているが、追加での措置となる。

(ベルナマ通信、6月24日)

マレーシアでのワクチン接種リポート

マレーシアで新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの第一回接種を受けたので、その状況についてリポートする。

 マレーシアでワクチンを個人的に購入して接種することは出来ないことになっており、国家ワクチン接種プログラムに基づき、情報・追跡アプリ「MySejahtera」で接種登録を行い、順番を待つ必要がある。

 6月21日から18歳以上のすべての成人を対象とした第3フェーズが開始されており、大多数の在留法人が接種対象となると思われる。

指定された接種場所は、セランゴール州ペタリンジャヤの民間病院、KPJスペシャリスト・ホスピタル。政府が仮設している接種センターとは規模は違うが、どちらも保健省の手順に則って行なわれているので細部は異なっても概ね同じと考えていいだろう。

 情報・追跡アプリ「MySejahtera」で接種登録したのは2月24日と比較的早い時期だったが、一回目の接種の案内が来たのは6月22日、接種指定日はその2日後の6月24日の午後という慌ただしいものだった。この段階で都合が悪ければキャンセルすることが可能。同意した後に都合が悪くなった場合もアプリを通じてキャンセルできる。

 前日夜になってSMSで「午前に来い」という通知が来た。予定を調整して行ってみると、どうやらドタキャンが多いらしく、繰り上げで案内を出しているという状況だということが分かった。この辺りはフレキシブルでいかにもマレーシアらしい。

 病院の玄関にある専用受付に行くとまず、問診票と同意書を渡されて記入・署名を求められる。問診票の内容は、▽発熱、頭痛、喉の痛み、咳、味覚&嗅覚障害、呼吸困難など14の症状があるかどうか▽妊娠もしくはその予定があるか(女性の場合)▽6カ月以内に新型コロナに感染したことがあるか▽2週間以内に感染の疑いで隔離されたことはあるか▽2週間以内に何らかの予防注射を受けたか——の5項目。(写真下)

これらを書き終えると、ワクチン接種の受付所に案内される。ここでは身分証明書(外国人はパスポート)と「MySejahtera」の記録を提示し、身分照合が行なわれる。

 KPJ病院の場合は会場自体がそれほど広くないので、それぞれの手続きごとに待合所が設けられていて、呼ばれるまでそこで待つことになっていた。こうして密になることを防いでいるわけだ。

接種受付が終わると、次いで医療スタッフによる口頭でのさらなる問診とワクチン及びリスクに関する説明が行なわれる。

 問診は問診票の記入事項をみながら、追加で病歴や持病、アレルギーなどについて聞かれる。

 発熱などの症状があったり、アレルギーがあるからといって接種できないわけではないようだ。また今回はシノバック製ワクチンだったが、そのワクチン接種によりどういった副反応が起きる可能性があるか丁寧に説明されるのは有り難い。

問診と説明が終わると、接種場所に案内される。接種場所はパーティションで区切られており、一人ずつ呼ばれて接種を受ける。(写真下)

 接種担当の医療スタッフが、接種前に注射器にちゃんと規定の分量のワクチンが入っていることを見せて確認させるのは感心。

接種後はまた別の観察室に案内され、そこで15分経過をみる(写真下)。

 この間に呼吸困難や痛み、痒みなどのアレルギー反応が出た場合はスタッフに言って処置をお願いすることになる。何の異常もない場合、最終説明デスクに案内される。そこでは今後起こりうる副反応リスクやその対処の仕方について説明を受け、2回目の接種日時を決める。

接種に関する手続きをすべて完了すると「MySejahtera」のステータスに下の接種を証明するステータスが表示されるようになる。

2度目の接種日は翌日、「MySejahtera」を通じて正式に案内が来た。

 最近では不安からワクチン接種のためにわざわざ帰国する人もいるようだが、帰国すれば往復で1カ月もの長期隔離が待ち受けており、ハードルは高い。

今回受けてみて分かったが、マレーシアではかなりしっかりした体制がとられているようである。ワクチンは選べないが、特にこだわりがなければマレーシアで接種しても問題ないと思われる。

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FMCO第2フェーズへの迅速な移行を要請=FMM

【ペタリンジャヤ】 マレーシア製造業者連盟(FMM)は、6月1日から続いている完全ロックダウン(FMCO)の第1フェーズ終了後、直ちに第2フェーズに移行するよう政府に求めた。

FMMのソー・ティエンライ会長は、第1フェーズでは操業を許可された製造業も生産能力の低下を強いられ、グローバルなサプライチェーンにおいて契約上の義務を果たせず、収益やキャッシュフローに深刻な影響を受けていると述べた。輸出契約では、納入が遅れたりキャンセルとなったため、顧客からの訴訟が増加しているという。

より多くの必需経済セクターの操業を許可し、操業能力を80%まで高めるべきであり、非必需経済セクターについても少ない労働力での操業を許可すべきだと主張した。鉄鋼やセメントなどは、50%の稼働率でもよいとしている。

さらに、標準的運用手順(SOP)違反などの調査について、各機関が調整の上行なうべきだと述べた。異なる機関が別々に何度も工場の調査を行っており、SOPや通産省(MITI)の承認に対する解釈も異なっているため、その度に製造業の業務が中断されてしまっているという。

また、6月19日までの57万8,105件の新型コロナウイルス(Covid-19)感染例のうち39万8,846件(69%)がクラスターとは関わりない散発的な発生であるにも関わらず、感染拡大の要因として職場クラスターが継続的に取り上げられることに落胆しているとも述べた。

(フリー・マレーシア・トゥデー、エッジ、6月24日)

新たに6件のコロナ変異株を検出、水際対策を強化

【クアラルンプール】 6月20日から22日にかけて、懸念される新型コロナウイルス(Covid-19)変異株(VOC)が国内で新たに6件検出された。VOCの累計件数は173件。

6件のうち5件はベータ変異株(南アフリカ株、B.1.351)で、ペナン州で2件、サバ州、ケダ州、ペルリス州でそれぞれ1件が報告された。1件はデルタ変異株(インド株、B.1.617.2)で、ネグリ・センビラン州で報告された。

世界保健機関(WHO)の分類によると、変異株には、毒性・感染性が強いため警戒すべきVOC以外に警戒レベルが低い「注目すべき変異株(VOI)」が存在するが、現在までに国内で検出されたVOCとVOIの累積件数は合計189件。 このうちVOCが173件、VOIが16件だった。

変異株の流入を防ぐために政府は、入国者の標準作業手順(SOP)を強化した。出発日3日前と入国時のPCR検査を必須にし、インド、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、パキスタンからの入国者の隔離期間を21日間に延長。その他の国からの入国者は隔離期間が14日間となる。いずれの場合も隔離期間の途中でPCR検査を行ない、その結果に基づいて隔離期間を延長するかどうかが決定される。

マレーシアでは、6月24日に新たに5,841人のコロナ感染者が報告され、累計感染者数は71万6,847人に達している。

(エッジ、マレー・メイル、6月24日)

新型コロナの新規感染者数は5812人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が5,812人となったと発表した。アクティブ感染者数は6万117人で、累計感染者数は72万2,659人となった。

州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く2,187人だった。それに▽クアラルンプール(KL、771人) ▽サラワク州(673人)▽ネグリ・センビラン州(658人)▽ペナン州(270人)▽マラッカ州(223人)▽ジョホール州(196人) ▽ケダ州(186人)▽サバ州(156人)▽パハン州(139人)▽ラブアン(123人)▽クランタン州(98人)▽ペラ州(72人)▽トレンガヌ州(46人)▽プトラジャヤ(14人)ーーが続いた。ペルリス州はゼロだった。新たに6,775人が回復し、累計治癒者は65万7,739人となった。死者数は82人増えて、累計で4,803人となった。

保健省のノール・ヒシャム事務次官は24日、30カ所のクラスターを新たに確認したと明らかにした。

職場では最も多い20カ所のクラスターを確認。またコミュニティで9カ所、高齢者施設で1カ所のクラスターが発生した。

州別では、セランゴール州が9カ所で最も多く、8カ所が工場などの職場に関するクラスターだった。またKLで4カ所、ネグリ・センビラン州、ジョホール州、ケダ州でそれぞれ3カ所、サバ州、クランタン州、サラワク州でそれぞれ2カ所、ペラ州、パハン州でそれぞれ1カ所発生した。

完全ロックダウン再延長へ、「4千人以下になるまで」ムヒディン首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 ムヒディン・ヤシン首相は27日、新型コロナウイルス「Covid-19」新規感染者数が1日当たり4千人を下回るまで全国的な完全ロックダウン(MCO3.0)を継続すると言明した。

国家復興計画(NRP、PKP)の第1フェーズとなる完全ロックダウンは6月1日に2週間限定で発令された後、感染者が減らないことからさらに2週間延長され、28日で期限を迎えることになっていた。ただ26日までの直近の4日間は連続して5千人を超えており、延長やむなしとの見方が強まっていた。

ムヒディン首相はまた、完全ロックダウンが延長されたことを受けた国民生活や経済を支援するための財政政策を28日、もしくは29日に発表すると言明した。

15日に発表されたPKPでは、復興段階を4つのフェーズに分けた上で、次のフェーズに移行する基準が明らかにされた。第2フェーズへの移行指標は▽新規感染者数が1日平均4千人以下になること▽ICU稼働率を中程度に下げるなど公共衛生システムの危機的状況から脱すること▽総人口の10%のワクチン接種完了——となっており、続く第3フェーズへの移行指標は▽新規感染者2千人以下▽ICU病床稼働率が適切なレベルに低下▽総人口の40%のワクチン接種完了——となっている。

サラワク州先住民、身分証ないためワクチン接種受けられず

【ミリ】 サラワク州の内陸部に住む先住民が身分証カード「MyKad」を持たないことを理由に新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種が受けられないでいる。

先住民の権利団体、バラム住民行動評議会(BPAC)のフィリップ・ジャウ議長によると、バラム地区では身分証を持っていないことを理由にワクチン接種を拒まれたとの苦情が先住民から多く寄せられている。ロング・サンの公営クリニックでは、職員から身分証の提示を求められ、持っていないと立ち入りを拒んでいるという。

ジャウ氏は遠隔地に住んでいることから都市部にしかない国民登録局(NRD)事務所に出生届けを出しておらず、出生証明書やそれに基づいて発行される身分証明書を持っていない先住民はサラワク州だけで少なくとも6万人おり、接種がこの方式で行なわれるのであれば彼らは接種を受けられないことになると指摘。保健当局に配慮を求めた。

身分証を持っていない先住民には密林に住む遊牧民のプナン族がいるが、すでに数十人のプナン族が感染し1人が死亡しているという。

サラワクではこれまでに5万7千人以上の感染者が出ており、死者は366人に上っている。(ザ・バイブズ、6月18日)

貸金業者やクレジット会社のMCO中の営業を許可

【プトラジャヤ】 住宅地方自治省(KPKT)に登録された貸金業者・クレジット会社について、現在発令中の行動規制令(MCO3.0)第1フェーズ中の営業が許可された。

KPKTによると、6月18日の国家安全保障委員会(MKN)特別会議で営業許可が決定された。営業を希望する業者は、通産省の新型コロナウィルス「Covid-19」情報マネジメント・システム(CIMS)経由で営業許可を申請する必要がある。

例外として、サバ州、サラワク州、ラブアンでは申請先が異なり、それぞれサバ州財務省(KKNS)、サラワク州政府部門、ラブアンコーポレーションに営業許可を申請する必要がある。

貸金業者・クレジット会社向けの標準的運用手順(SOP)も更新されており、顧客との商談時間は午前9時から午後5時まで、店舗に同時入店できるのは2人まで、顧客の来店前予約を推奨、スタッフの60%のみ出社などが定められている。

(ベルナマ通信、6月23日)

9月までに人口の60%にワクチン接種=カイリー担当相

【クアラルンプール】 新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種調整担当大臣を兼任するカイリー・ジャマルディン科学技術革新相は、9月末までに人口の約60%にワクチン接種を行うことを目標とすると発表した。

カイリー氏によると、6月に1日15万回、7月に1日20万回という接種目標を掲げていたが、6月15日にすでに1日21万5,000回の接種を達成。6月19日の時点で、人口の12.5%にあたる408万人が少なくとも1回接種済、158万人がすでに2回の接種を完了している。7月に1,100万回、8月に1,300万回、9月に800万回の接種を行っていく。

ワクチン接種の加速化のために大規模ワクチン接種センターを増設する。接種人員についても、6月末から7月にかけて、民間の開業医1,000人がワクチン接種を開始することを目標としており、退職した医療従事者やインターン、医学生なども動員する。ワクチン接種センターへ出向くのが難しい人向けのトラックを利用した移動式ワクチン接種会場も稼働させている。

カイリー氏は、先進国からのワクチン寄付に感謝を示しつつも、先進国による買いだめにより発展途上国へのワクチン供給が滞っている問題について、ワクチンの公平性を確保するよう世界銀行に求めた。

(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月23日)