【クアラルンプール】 セランゴール州サイバージャヤでは、来年初頭に完全電動式の路面電車(トラム)のパイロット・テストを実施する。「2025年までにスマート低炭素都市となる」ことを目指す取り組みの一環。
電動バスを連結して走らせる自動高速輸送(ART)システムを採用。無人走行と有人走行ともに可能で、専用の軌道を必要とせず、道路標識により形成される仮想線路を走行する。3つの車両を連結し、一度に乗客307人の運搬が可能。最高速度は時速70キロメートル。運行をサポートする充電ステーションなどの設備も設置する。民間企業であるモビルスが協力する予定だが、モビルスは、今年4月にジョホール州イスカンダル・マレーシアで実施されたARTシステムのパイロット・テストにも協力している。
トラムについては、2016年2月に当時の連邦直轄地相からプトラジャヤおよびサイバージャヤへの導入計画が発表された。2018年3月には公共陸運委員会(SPAD)(現・APAD)がプトラジャヤおよびセランゴール州のバンギ、サイバージャヤ、カジャンに導入を提案。2つのMRT路線および計画中の高速鉄道への接続が可能とした。
一方、公共交通機関の利用率の低さから、トラムの長期的な採算性について疑問の声も上がっている。サイバージャヤ住民代表委員会のジャマルディン・マームッド・シャー議長によると、セランゴール州の無料バスサービス「スマート・セランゴール」は、利用者が少ないため赤字になっている。同議長は、「バスと異なりトラムのルートは固定されてしまうため、導入前に採算が取れるかどうか路線調査を行なうべき。また、自動車ではなく公共交通機関を利用するよう促すには、政府による抜本的な改革が必要だ」と述べた。
(マレー・メイル、9月27日)