【クアラルンプール】 中国で新型コロナウイルス「Covid-19」オミクロン株の感染が拡大していることから同国の「ゼロ・コロナ」政策に基づく都市封鎖によってサプライチェーンが影響を受ける懸念が高まっており、電子・電気(E&E)業界を中心に中国への依存低減及びリスク分散戦略が求められている。
中国では「アジアのシリコンバレー」である深センでは新型コロナ感染者の拡大を受けて13日にロックダウンが発表された。マレーシアのE&E企業は中国への部品依存が高く、供給リスクが高まる懸念が指摘されている。中国はマレーシアにとって最大の輸入元であり、2021年通年は総輸入額の23.2%、額にして2,290億リンギに上った。
Amバンクの主任エコノミスト、アンソニー・ダス氏は、中国がすぐに新型コロナ政策を打ち切る可能性は低く、感染拡大を受けてより多くの都市が封鎖される可能性があると指摘。短期的には対応可能でも、長期に及んだ場合にはマレーシアの製造業者にとって深刻な影響がでるとし、調達品の代替購入先を見つけるかまたは独自製造を開始する必要があると指摘した。
バンク・イスラム・マレーシアの主任エコノミスト、モハマド・アフザニザム氏は、中国経済がグローバルサプライチェーンと高度に統合されていることを考えると、配送プロセスの一時的な中断による影響が広がるだろうと指摘。マレーシアにとって正しい戦略は、集中リスクが発生しないように国際貿易パートナーの多様化を追求することだとした。
インターパシフィック・セキュリティーズのリサーチ長、ビクター・ワン氏は、中国と直接取引を行っていなくても深センの都市封鎖の影響を受ける可能性があると指摘。「他国から輸出された部品はマレーシアで加工・組立られて付加価値が付けられるが、そうした部品の一部は中国からのものである可能性が高い。こうした場合、中国での都市封鎖の影響をマレーシアの製造業者も受けるだろう」と述べた。
(ザ・スター、3月16日)