【クアラルンプール】 TNBフューエル・サービス(TNBF)は、ロシアのウクライナ侵攻により高騰している石炭価格について、半年以内に価格が安定化する見込みだと明らかにした。
TNBFの調達・サプライチェーン責任者であるアブドゥル・ハリム・オスマン氏は国営 「ベルナマ通信」の取材に対し、世界の石炭価格は、3-6カ月以内に需給バランスが正常化することから以前と同程度まで価格が下がると述べた。
同氏によると、昨年の経済再開が石炭への高い需要をもたらし、第2四半期から第3四半期にかけて石炭価格は上昇したが、その後下落。第4四半期には価格が一旦安定したものの、インドネシアが国内需要への対応のため今年1月に石炭輸出を一時的に停止したため、再度価格が上昇した。輸出再開後、価格は落ち着くかに見えたが、ロシアのウクライナ侵攻により再び価格が高騰したという。ロシアから欧州への天然ガス供給がストップしたため、欧州での石炭需要が急激に高まっており、石炭価格は3月上旬には1トンあたり400米ドルを超え、4月に入っても8日に1トンあたり291.60米ドルとなるなど、過去最高レベルまで高騰している。
マレーシアは発電用の石炭のほとんどをインドネシアから輸入しており、1カ月程度の利用量を備蓄しているため、輸出禁止の際にも持ちこたえられたという。TNBFは、サプライヤーとの間で1年間の石炭価格をあらかじめ設定しておく長期契約を締結していることから価格高騰の影響を軽減できているとし、さらに、数カ国に分散して供給源を確保することで発電に十分な供給量を得られると同時に、供給不足リスクを軽減しているとした。
TNBFは 電力会社テナガ・ナショナル(TNB)の100%子会社の非営利組織で、TNBと電力購入契約(PPA)を結んでいる独立系電力会社(IPP)に対して石炭を販売するために設立された。マレー半島での安定した電力供給のため、電力発電用の石炭を確保することを事業の目的としている。
(ザ・サン、4月11日、ベルナマ通信、4月10日)