【クアラルンプール】 石油輸送と天然ガス液化処理大手の加インター・パイプラインは11日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の子会社ペトロナス・エナジー・カナダ(ペトロナス・カナダ) と伊藤忠商事(本社・東京都港区)との間で、カナダ・アルバータ州でのブルーアンモニアとブルーメタノールの商業生産に向けて提携したと発表した。
 三社はアルバータ州の施設2カ所で技術評価を実施する。2024年前半に最終的な投資決定や許認可取得後、2024年後半に製造施設に着工し、2027年に操業を開始する計画だ。
 ブルーアンモニアは、化石燃料由来であるが、製造時に排出される二酸化炭素を分離・回収し、大気への二酸化炭素排出を抑制して製造されたアンモニア。また、ブルーメタノールは汎用性が高く、接着剤、建材、船舶業の低炭素燃料に利用されている。
 インター・パイプラインのブライアン・ベイカー社長兼最高経営責任者(CEO)は、同プロジェクトは、北米で初めての試みであり、稼働後にカナダの豊富な原材料を付加価値の高いエネルギー転換製品にし、世界市場に供給できるようになると言明。ブルーアンモニア市場のひとつは、「2050年までに温室効果ガスの排出を正味ゼロにする」という目標を掲げている日本だとした上で、火力発電燃料を石炭からアンモニアや水素へ転換することで、目標達成に貢献できるとした。
 伊藤忠商事は昨年8月、ペトロナス・カナダと、2026年からカナダで燃料用アンモニアの商業生産に向けた共同事業化調査を実施することに合意。13億米ドル(約54億9千万リンギ)を投じ、ペトロナスが生産した天然ガスからアンモニアを製造する工場を建設すると発表した。
(エッジ、5月13日、インター・パイプライン発表資料)