【クアラルンプール】 シンガポール・ドル(SGD)高とリンギ安傾向を背景に、対DSGのリンギ為替レートが25日、1SGD=3.1665リンギと過去最安水準を記録した。リンギ安は一時は3.1688リンギ水準に達した。ブルームバーグのデータによると、これまでの最安値は2017年3月31日の3.1650リンギだった。
SGD高・リンギ安の傾向は2022年4月10日ごろから始まったもので、2021年12月31日の3.0857リンギから2.72%もリンギ安が進んだ。バンク・イスラム・マレーシアのチーフエコノミスト、アフザニザム氏は、シンガポール金融管理局(MAS)が4月14日の金融政策会議で、高まるインフレ圧力から一段の金融引き締め方針を発表したことを要因に挙げている。
リンギ安は対米ドルでも進んでおり、1米ドル=4.357リンギと2020年5月以来の水準となっている。これについてアフザニザム氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和をどのように解消していくかがリンギ安にとって最大のリスク要因だとしている。同氏はマレーシアではインフレ率が2、3月と2カ月連続で2.2%と低い水準で安定しているとし、中央銀行バンク・ネガラが翌日物政策金利(OPR)を現状の1.75%で維持する余地があるとしている。
OANDAのシニアアナリスト兼エコノミスト、ジェフリー・ハレー氏は、リンギは最大の貿易相手国である中国の成長の弱さを反映していると指摘。中国が景気刺激策を強化するか、人民元安が止まらない限り、リンギ安は続くだろうと分析している。
(エッジ、ザ・スター、4月25日)