第593回 東南アジアのイスラム金融市場、1兆米ドル超え

Q: 東南アジアの2026年第1四半期のイスラム金融市場の状況は?

A: 世界的な金融格付機関であるフィッチ・レーティングスが5月に発表したレポートによると、東南アジアのイスラム金融市場は26年第1四半期に1兆米ドルを超えた。

フィッチ・レーティングスが明らかにしたところによると、東南アジアのイスラム金融市場はマレーシア、インドネシア、ブルネイの3カ国が牽引している。これらの国々は、①ムスリム人口が多い、②政府が積極的にイスラム金融産業を振興している、③ハラル食品やムスリム向け観光などハラル経済が成長している、④デジタル化が進んでいる、などの理由で市場の成長に繋がっているとしている。

市場の構成のうち、イスラム銀行の総資産が過半数を占める一方、スクークが41%でこれに続く。他にはイスラム式で運用されているファンドが8%、タカフル保険会社の資産が2%などとなっている。スクークに着目すると、世界全体のスクークのほぼ半数が、東南アジアで起債された。国別にみるとマレーシアが世界1位、インドネシアが3位であり、両国とも現地通貨建てで起債されている。これらは、過去4年間で債務不履行が発生した例はないとしている。ただ4月以降、ヒッチ・レーティングスはインドネシア自体の評価を下げたため、これに応じて評価を下げたスクークもあるとしている。

他の東南アジア諸国の動向をみてみると、国によって発展の段階が不均衡な状況にあるとみなしている。シンガポールは、米ドル建てスクークの上場先としては世界で6番目に大きい市場になっている。フィリピンは、25年末時点でイスラム銀行資産は4,400万米ドルにとどまっているが、23年に10億米ドルのスクーク発行の経験があり、またタカフル保険事業者が5社存在するなど、着実に成長しているとみている。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。