家電のKHIND、月額サブスク「RTO」初の専門店を開業

【クアラルンプール】 マレーシアの家電メーカーKHINDは、セランゴール州セメニエに毎月定額制のサブスクリプション・プログラム「レンタル・トゥ・オウン(RTO)」として初の専門店を開業した。

同社は扇風機やキッチン家電、生活家電などを手がけており、近年、特にRTO事業に力を入れている。消費者は毎月定額料金で一定期間レンタルし、期間終了後にそのまま所有できる。2022年に洗濯機からスタートし、昨年からは冷蔵庫やアイロンなどにも拡大。購入する場合に比べ総支払額は高くなるものの、頭金が不要なことから、若年層などを中心に広がっている。

これまではオンライン中心でRTO事業を展開してきたが、今回、若い世帯が多いエリアに新店舗を構えた。店内は自宅のような環境を再現した設計となっており、実際に製品に触れながらRTOアドバイザーから直接アドバイスを受けることができる。RTO事業について現在は首都圏クランバレーが中心だが、今後クランバレー以外への展開も視野に入れている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、6月14日)

ゲンティン、ジョホール州で800億リンギ規模スマート都市開発

【クライ】 ゲンティン・プランテーションズは12日、ジョホール州クライにおける大規模複合開発プロジェクト「ジョホール・テック・スマートシティ」を発表した。総開発価値(GDV)は800億リンギ規模と推定される。

プロジェクトはジョホール・シンガポール経済特区(JSーSEZ)内の2,300エーカー(約930ヘクタール)で、1,700エーカーの「ナレッジAIキャンパス」と、500エーカーの農業系「アグテック・キャンパス」で構成する。1万人以上の雇用創出が見込まれている。

ゲンティン・プランテーションズの不動産開発子会社ゲンティン・プロパティと、同じく農業技術子会社のACGTが共同開発。ジョホール州政府などとの官民連携で進められ、都市計画にはカナダ系「B+H」、シンガポール政府系の「スバナ・ジュロン」が参画する。さらにファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)、ロボット開発を手掛ける上海智元新創技術(AgiBot)がAIキャンパスに協力するほか、アグテック・キャンパスにも中国系4社が協力する。

AIキャンパスは、ファーウェイが上海などで展開するスマートキャンパスを参考モデルに計画。住宅、レクリエーション、ウェルネス関連施設を統合した430エーカーのイノベーションハブや、100エーカーの太陽光発電所などが整備される。アグテック・キャンパスではスマート農業技術を活用し、食料安全保障の強化と持続可能な農業の実現を目指す。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、ベルナマ通信、6月12日)

PPBMを除名されたハムザ氏ら、新野党PWNを結成

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 野党連合・国民同盟(PN)の中核党、統一プリブミ党(PPBM)のムヒディン・ヤシン党首(元首相)との対立の末に同党を除名されたハムザ・ザイヌディン前副党首が13日、新たな野党・国家ビジョン党(PWN、ワワサン)設立を発表した。

PWN結党はハムザ氏らが組織した新たな政治運動「RESET」の全国大会で発表された。改革を標榜する新たなマレー系政党として、既存政党に不満を持つ有権者の取り込みを目指す。次期総選挙に向けた新たな政界再編に繋がるのか、単にマレー人票、野党票を分散させるにとどまるのか注目される。

同大会にはPNの最大党派である汎マレーシア・イスラム党(PAS)のハディ・アワン党首も出席。ハムザ氏は「ハディ氏が党名を考案した」と親密さを強調。ハディ氏も「PWNのPN入りを支持する」とハムザ氏を支援する意向を示した上で、ハムザ氏を野党代表に指名することを決めたと述べた。一方、PPBMに対しては「PNにとどまるかどうかはPPBMが決めることだ」と突き放した。

PAS内部では、弱体化しているにも関わらずPNの中心にとどまろうとするPPBMに対する不満が高まっており、先ごろPPBMとのあらゆる協力関係を断つと発表した。こうした情勢の中でのPASによるPWN支持は、PASが提携相手をPPBMからPWNに乗り換える意向をおおやけに示したものと受け止められている。

PWN設立、及びPASとの接近の動きについて、PPBM側からは15日午前時点で何ら反応はみられない。単独で次期総選挙を戦う基盤に欠けるPPBMとしては心ならずもPWNを認めてPNにとどまるか、或いは無理を承知でPNを離脱するかの判断を迫られることになる

ムヒディン氏らPPBM現執行部は2月、対立するハムザ氏とハムザ氏に同調する国会議員3人を含む党員17人を党規違反を理由に除名処分とした。ハムザ氏ら除名組は離党組と共に「RESET」を組織。ムヒディン氏らへの批判を強めた上で、国家再建や政治改革、経済再活性化、新たな国民的合意――を標榜して勢力拡大を目指していた。

【イスラム金融の基礎知識】第594回 エルドアン大統領「利子があるところに恩恵なし」

第594回 エルドアン大統領「利子があるところに恩恵なし」

Q: トルコのエルドアン大統領はイスラム銀行をどのようにみていますか?

A: 6月3日から6日にかけて、トルコのイスタンブールでアル・バラカ・グループ主催の「第3回世界イスラム経済サミット」が開催された。マレーシア中銀のアブドル・ラシード総裁をはじめ、各国のイスラム金融関係者が参加する大規模なサミットだが、この中でエルドアン大統領がスピーチを行った。大統領は「利子があるところに恩恵なし」として、イスラムが経済と社会に貢献することを強調した。

イスラム政策を進めるエルドアン大統領であるが、彼の考え方はこのスピーチによく表れている。スピーチによれば、経済や国際関係は、欧米発祥の単一のシステムに縛られるものではないとしている。イスラム金融は正義、倫理、リスク分担、持続可能性、社会福祉といった価値観に基づいて運営されており、欧米社会の価値観とは異なるもう一つの選択肢となる。また、イスラム金融はムスリムだけのものでなく、全世界にとってより 公平で安全なモデルであるとしている。

ただ、現在トルコの金融市場に占めるイスラム銀行の割合は9.5%にとどまっている。長らくトルコの銀行市場を従来型金融が占めていることに対して、大統領は長年の不満を込めて「利子があるところに恩恵はない」と批判した。続けて大統領は、政府系イスラム銀行4行のうちジラート・カトゥルム銀行、ヴァルフ・カトゥルム銀行、ハルク・カトゥルム銀行の合併、および残る一つのエムラク・カトゥルム銀行のIPOを実施することを明らかにした。具体的な時期や方法については言及しなかったものの、これらの動きが重大な相乗効果を生むと強調した。

トルコでは、イスラム式の銀行は「参加銀行」(カティリム・バンカシ)と呼ばれる。イスラム銀行を推進するエルドアン政権下にあっても、「イスラム」の名称を冠することがない独自の政治と宗教のバランスがあるのがトルコの現状を表しているといえよう。

福島 康博(ふくしま やすひろ)
立教大学アジア地域研究所特任研究員。1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科後期博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。2014年5月より現職。専門は、イスラーム金融論、マレーシア地域研究。