ワクチン接種証明書、偽造や不正発行問題が浮上

【ペタリンジャヤ】 新型コロナウイルス「Covid-19」のワクチン接種が進む中、偽造された「デジタル証明書」をワクチン接種をしていない人が1,000リンギで買い求めるといった不正発行問題が浮上している。デジタル証明書の偽造や不正に関する情報がソーシャルメディアで発信されていたことを受け、警察は捜査に乗り出している。
マレーシア民間医療従事者協会のスティーブン・チョウ会長によると、ワクチン接種を終えた人への規制の緩和が行われていることや、ワクチン接種に反対する人、接種できない状況にある人、未接種でありながら急な旅行が必要な人などから、民間のクリニックや開業医に対して、デジタル証明書の偽造依頼や1,000リンギで証明書を購入したいという問い合わせが入っている
プロテクトヘルス・コーポレーション社のアナス・アラム・ファイズリ最高経営責任者(CEO)は、ワクチン接種に反対する人の中には、ワクチン接種センター(PPV)に足を運び証明だけをもらい、接種前になって袖を捲り上げ肩を出すことを拒否する人もいたと言明。そのため証明書の発行プロセスが見直されたと明らかにした。
またマレーシア医療従事者連合協会のラジ・クマル会長は、ワクチンを打ちたくないが、証明書だけを発行して欲しいという問い合わせが増加していると説明。デジタル証明書が偽造されたり、盗難されないためにもソーシャルメディアなどに共有しないように呼びかけた。
(ザ・スター、8月25日)

サラワク州、独自の長期滞在ビザの条件を維持へ

【クアラルンプール】 連邦政府による外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムの申請条件の厳格化が先ごろ発表されたが、サラワク州政府は独自で実施している「S-MM2H」の条件を今後も変更しない方針だ。
同州のアブドル・カリム・ラーマン観光芸術文化相は、S-MM2Hプログラムがサラワク州への質の高い外国人長期滞在者を引き付けることを目的としているとし、昨年9月1日以降使用されている既存の基準を今後も維持すると言明。プログラムの推進が、同州の観光セクターに利益をもたらすだろうと述べた。
「S-MM2H」は、単身の場合は同州内の銀行に15万リンギ、夫婦の場合は30万リンギの定期預金、海外収入証明が単身は月7,000リンギ、夫婦は同1万リンギ。40—49歳のみ総額60万リンギ以上の同州内での不動産投資、年間15日以上の同州滞在——などが条件で、50歳以上では資産証明・定期預金以外の条件はない。S-MM2Hビザを取得して、マレーシア国内の他州に在住することも可能となっており、10月から施行される連邦政府の「MM2H」条件よりかなり緩やかとなっている。
連邦政府が発表した新たな「MM2H」取得条件は、海外収入証明が4倍の月1万リンギ、銀行預金額も大幅人に引き上げられ、年間90日間のマレーシア滞在義務などが新たに課されている。このため申請者が激減するとビザ代行業者や不動産業界が不満を募らせている。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、8月24日)

不安定なイスマイルサブリ新政権、閣僚人事が最初の関門

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 安定多数には程遠い不安定な中で船出したイスマイル・サブリ・ヤアコブ新政権にとって、いかに連立与党内を纏めあげるかが喫緊の課題。9月には国会での信任投票を控えており、今週中にも決定する閣僚人事が最初の関門となる。

イスマイル・サブリ新内閣には、第一に新型コロナウイルス「Covid-19」対策や経済復興策の実施が求められている。それを実行するための閣僚の人事を決定するにあたっては、信任投票を念頭に連立与党内の微妙なバランスへの配慮が求められる。

イスマイル・サブリ新首相が総裁補を務める統一マレー国民組織(UMNO)は37議席を保有し与党第一党となっているが、党内にはイスマイル氏に批判的な勢力も根強い。ムヒディン•ヤシン前首相の統一プリブミ党(PPBM)も31議席の勢力を背景に副首相ポストを要求しており、受け入れられなければ関係悪化は避けられない。副首相ポストについては、18議席をもつサラワク政党連合(GPS)も狙っている。

一方、野党側は与野党の協力体制を希望するアブドラ国王やイスマイル・サブリ新首相の発言を背景に、政策への積極的な提言・関与を求めていくと同時に、野党勢力の結集を図って政権奪回に向けた準備を進める構えだ。

野党連合・希望同盟(PH)は25日、連立与党に対抗するための野党大同団結に向けた会議の開催を野党各党に呼び掛ける声明を発表した。野党会議では野党大同団結の進め方のほかイスマイル・サブリ新首相に対する不信任決議などについても話し合うとみられる。

その一方でPH構成3党のトップは、イスマイル・サブリ新首相と会談。新型コロナ対策や経済復興政策に関する意見調整を行い、行政のチェック機能を高めるために議会機能を強化することで合意した。会談にはPHを率いるアンワル•イブラヒム元副首相(人民正義党=PKR党首)、民主行動党(DAP)のリム・グアンエン書記長、国民信任党(Amanah)のモハマド・サブ党首が参加した。

ラブアンがNRP第4フェーズへ、Nセンビランも第2フェーズに

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は26日、ラブアンが(NRP)の第3フェーズから第4フェーズに移行すると発表した。第4フェーズに移行する初めての地域となる。ネグリ・センビラン州も同日第1フェーズ1から第2フェーズに移行する。
ラブアンでは、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの2回接種率が、成人人口の92.4%となり、1日あたりの新規感染者数も12日間連続で1桁、集中治療室(ICU)使用率も以前の30%からゼロになった。
第4フェーズに移行すると、標準的運用手順(SOP)遵守の上、すべての経済部門が100%稼働できる。セミナー、ワークショップ、対面式の会議なども、定員の50%までの制限付きで開催が可能。宴会、祝賀会、婚約式、同窓会などの社会的集まりについても、ソーシャルディスタンスを保った上で施設収容数の50%までの制限付きで認められる。
ネグリ・センビラン州も新規感染者数が減少傾向にあり、ICU使用率も5月末には120%を超えていたが23日現在で40%に低下。成人人口の72.3%が2回目接種まで完了しており、26日より第2フェーズへ移行し、緩和措置が適用されることとなった。
ラブアンとネグリ・センビラン以外の地域では、現在、NRPの第1フェーズにとどまっているのは、▽セランゴール▽クアラルンプール▽プトラジャヤ▽ケダ▽ジョホール▽マラッカーー。第2フェーズは、▽クランタン▽トレンガヌ▽パハン▽ペラ▽ペナン▽サバーー。第3フェーズは、ペルリスとサラワクとなっている。
(エッジ、マレーメイル、ザ・スター電子版、8月24日)

新型コロナの感染者数は2万2642人、セランゴール州が最多

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は25日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が2万2,642人となったと発表した。アクティブ感染者数は26万4,292人で、累計感染者数は161万6,244人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く6,325人だった。それに▽サバ(3,224人)▽ケダ(2,279人)▽ジョホール(1,832人)▽サラワク(1,667人)▽ペナン(1,427人)▽クランタン(1,424人)▽ペラ(1,390人)▽クアラルンプール(KL、1,128人)▽トレンガヌ(744人)▽パハン(522人)▽マラッカ(342人)▽ネグリ・センビラン(269人)▽ペルリス(44人)▽プトラジャヤ(21人)▽ラブアン(4人)ーーが続いた。2万798人が新たに回復し、累計治癒者は133万7,134人。死者数は265人で、累計で1万4,818人となった。
保健省によると、24日に確認された感染者のうちカテゴリー1(無症状)が45.8%、カテゴリー2(軽度の症状)が52.5%、カテゴリー3(肺炎の症状)が0.9%、カテゴリー4(酸素吸入が必要)が0.3%、カテゴリー5(人工呼吸器を装着する必要)が0.5%だった。
また同日は新たに34カ所のクラスターを確認した。職場で22カ所、コミュニティで9カ所の他、老人ホーム、リハビリセンター、拘留所でクラスターが発生した。州・地域別ではクランタンとセランゴールがそれぞれ7カ所で最多となった。

都市の安全性ランク、KLは60都市中32位にアップ

【クアラルンプール =マレーシアBIZナビ】 世界60都市を対象に、都市の安全性を評価した「セーフ・シティーズ・インデックス2021」によると、クアラルンプール(KL)のスコアは66.6ポイントで32番目に安全な都市であることがわかった。2019年に実施された前回調査の35位(66.3ポイント)よりランクが上がった。
「セーフ・シティーズ・インデックス2021」は、NEC協賛のもと、英エコノミスト誌の調査機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が評価したもので、2019年から2年ぶり4回目の調査となった。76項目で構成された指数を、デジタル・セキュリティ、医療・健康環境の安全性、インフラの安全性、個人の安全性の4つのカテゴリーで分析した。
KLは「個人の安全性」で33位と比較的評価が高かったが、「デジタル・セキュリティ」で35位、「インフラの安全性」で37位、「医療・健康環境の安全性」で38位、と評価が低かった。
全体トップはコペンハーゲンだった。2位がトロント、3位がシンガポール、4位がシドニー、5位が東京となった。
アジアからは香港が8位、大阪が17位、台北が24位、ソウルが25位、上海が30位で、KLより上位となった。北京(36位)やバンコク(43位)、ホーチミン(45位)、ジャカルタ(46位)、マニラ(51位)、ヤンゴン(60位)はKLよりランクが低かった。

半導体不足、マレーシアのコロナ感染急増で深刻化

【クアラルンプール】 マレーシアでの新型コロナウイルス(Covid-19)感染者数の急増によって、自動車メーカーを苦しませている半導体不足やその他の部品の調達難がさらに深刻化する恐れがある。
近年、半導体メーカーのインフィニオン・テクノロジーズ、NXPセミコンダクターズ、STマイクロエレクトロニクスが生産拠点を構えるなど、マレーシアは半導体製品の検査と最終加工における重要な拠点となっているが、現在、コロナ感染の拡大によりロックダウンが実施されているため、生産能力が大幅に低下している。
最近、規制緩和により、ワクチン接種を条件に営業再開が許可されたが、現場は依然として不安定なままだ。工場で感染が発覚した場合、衛生管理のために2週間ほど操業停止する必要があるが、デルタ変異株は特に感染力が強く、感染を防ぐのが難しい。半導体製造の中でも検査・最終加工の過程は、自動化されておらず多くの人員を必要とするため、特に感染の影響を受けやすいという。
フォードは先週、「マレーシアでのコロナ感染拡大による半導体関連部品不足」を理由に、人気のピックアップトラック「F-150」の生産を一時的に停止すると発表した。トヨタ自動車も先週、14の工場で生産を停止すると発表したが、これは、特にタイ、ベトナム、マレーシアからの部品供給がコロナの影響を受け滞っているためだ。インフィニオンは8月の決算説明会で、マレーシアでの製造上の制約が今期の売上に引き続き影響を与える可能性が高いと述べた。操業停止による損失額は数百万ユーロにのぼるという。STマイクロ社は最近、ジョホール州ムアルの組立工場の操業を11日間停止したが、それにより第3四半期の売上高と粗利益率に影響が出るという。
マレーシアは、スマートフォンから自動車まで様々な製品に搭載されている積層セラミックコンデンサー(MLCC)の重要な生産拠点でもあり、ロックダウンによりMLCCの供給も滞っている。日産自動車とゼネラルモーターズは、マレーシアでの操業停止により部品不足が深刻化しているとし、日産は8月にテネシー州スマーナ工場の生産ラインを2週間停止した。
自動車メーカーは半導体不足によって今年だけで1千億ドル以上の損失を被ると予測されている。最終的な損失額は、マレーシア政府が今後どれだけ効果的な感染症対策ができるかによって決まると見られている。
(ブルームバーグ、8月24日)

産業界、イスマイルサブリ新政権に経済活動の再開を要請

【ペタリンジャヤ】 産業界は、先ごろ就任したイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相率いる新政権に対し、民間部門の経済回復を促進させるために、まだ事業活動が認められていないセクターにおける経済活動の再開を許可するよう求めている。
マレーシア経営者連盟(MEF)のサイド・フセイン会長は、経済活動再開が景気回復につながり、雇用創出や、企業および消費者の信頼感を高めることができると述べた。特に事業所の98%以上を占める中小企業(SME)や零細企業の事業継続のためには、事業再開を許可し、賃金補助金や無利子ローンなどの支援が必要だと主張。また政府や政府関連企業(GLC)による雇用創出や大規模プロジェクトの再開も景気活性化には必須だとした。
マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会長も、より多くの経済活動の再開を許可することで収入を生み出し、ビジネスコストを下げることが重要だと強調。購買力の向上や生活費を引き下げるための対策を講じて、国民の幸福度を向上させることも必要だと述べた。またビジネス環境を整えるとともに、政策をよりシンプルで透明性の高いものにするべきだと主張。「信頼性、明確性、一貫性、確実性」という4つの方針に基づいていなくてはならないとした。
マレーシアSME協会のマイケル・カン会長は、SMEや零細企業に対する助成金給付や融資の提供など、前政権にも多くの提案をしたと言明。SMEは1年半以上苦しい状況にあり、対策がなければさらに事業が閉鎖され、失業者増えると予想。SMEは手持ち現金が非常に少ない状態にあるとして、店舗などの資産を売却する時にかかる税金や手数料の免除も求めた

今週中に閣僚人事を発表、野党の入閣はない=サブリ新首相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 就任したばかりのイスマイル・サブリ・ヤアコブ新首相は、今週中に内閣閣僚人事を発表すると言明。ただ野党を取り込んだ挙国一致内閣にはならないとの見通しを示した。
イスマイル・サブリ首相は、野党からの協力の申し出に対して感謝を示した上で、「野党と協力するというのは野党を入閣させることを意味している訳ではない」と言明。野党からの意見は新型コロナ対策特別委員会と国家復興評議会(MHN)を通じて聞くことができると述べた。
また副首相をサラワク政党連合(GPS)から選出するとの噂については、検討を行なっていることを認めた上で、巷に出回っている様々な憶測については「すべてデマであり信じないように」と強調。正式発表まで待つように呼び掛けた。GPSは下院議会で18議席をもつ有力政党であり、ムヒディン・ヤシン前首相辞任後の後任人事についてはかなり早い時期からイスマイル・サブリ氏を支持する意向を示していた。
副首相人事については、ムヒディン前首相が党首を務め31議席を保有する統一プリブミ党(PPBM)から選出するとの見方が有力だが、PPBM内ではハムザ・ザイヌディン書記長とアズミン・アリ前上級相が争っているとされる。イスマイル・サブリ氏が総裁補を務める統一マレー国民組織(UMNO)内からは副首相もUMNO内から出すべきとの声もあり、こうした声を受けてアズミン氏がPPBM内のシンパを連れてUMNOに電撃移籍するとの噂もある。

新型コロナの感染者数は2万837人、再び2万人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は24日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数が2万837人となったと発表した。アクティブ感染者数は26万2,713人で、累計感染者数は159万3,602人となった。
州・地域別の感染者数はセランゴール州が最も多く4,645人だった。それに▽サバ(3,376人)▽ペナン(2,054人)▽ケダ(1,772人)▽ジョホール(1,743人)▽サラワク(1,543人)▽クランタン(1,422人)▽クアラルンプール(KL、1,284人)▽ペラ(1,242人)▽パハン(521人)▽マラッカ(396人)▽トレンガヌ(383人)▽ネグリ・センビラン(351人)▽ペルリス(74人)▽プトラジャヤ(27人)▽ラブアン(4人)ーーが続いた。1万8,613人が新たに回復し、累計治癒者は131万6,336人。死者数は211人で、累計で1万4,553人となった。
保健省によると、23日に確認された感染者のうちカテゴリー1(無症状)が46.6%、カテゴリー2(軽度の症状)が51.0%、カテゴリー3(肺炎の症状)が1.0%、カテゴリー4(酸素吸入が必要)が0.6%、カテゴリー5(人工呼吸器を装着する必要)が0.8%だった。
また同日は新たに30カ所のクラスターを確認した。職場で18カ所、コミュニティで10カ所の他、老人ホームでクラスターが発生した。州・地域別ではクランタンが8カ所で最多となった。