【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は27日、国家5カ年計画、「第12次マレーシア計画(12MP、対象期間;2021ー2025年)」の概要を下院議会で発表した。当初は2020年8月発表の予定だったが、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大にともない大幅な見直しが必要と判断。今年1月に先送りされたが、さらに半年延期されていた。

3つの主要テーマは▽経済の再生▽安全と福祉の強化▽包括性及び先進的持続性――で、これらを▽将来に向けた人材育成▽技術導入の加速化と技術革新▽コネクティビティ拡大及び交通インフラ▽公共サービスの強化――の4つの触媒的な政策が支える。

▽2025年までに年平均4.5―5.5%の経済成長▽2025年までに平均世帯収入の1万リンギ達成▽2025年までに1人当たりGDPの首都圏との格差をサバ州で2.5倍、サラワク州で1.2倍からともに1倍(同等レベル)まで縮小▽2030年までに対2005年比で45%の温室効果ガス削減――などの目標を設定した。

開発予算を前回(11MP)の2,600憶リンギから4,000憶リンギに大幅に増やす。東海岸鉄道線(ECRL、2026年完成予定)、西海岸高速道路(WCE、2024年完成予定)などの大規模交通インフラのほか、デジタル化・IR4.0推進支援基金及び4G改善のために280億リンギを割り当てる

ハイテク投資の呼び込みに力を入れ、産業界が生産の自動化と機械化に移行することを奨励し、低スキル外国人受け入れを制限する。産学連携を強化することによってより高度なスキルの雇用を確保する。これに伴い長期的には労働人口に占める外国人の比率を15%に制限する。

ブミプトラ(マレー人と先住民の総称)中小企業向けの新規プログラムや基金を創設し、これらの対GDP貢献度を2025年までに15%に引き上げる。またブミの株式保有比率が30%を達成できていないことから、非ブミ資本へのブミ企業の株式流出を防ぐセーフティネットを導入する。

女性の勤労比率を2025年までに59%に引き上げることを目指す。これを推進するために女性関連の問題に対処するための法整備を実施、ジェンダーエンパワーメント枠組みを導入する。

2050年までのカーボン・ニュートラル達成を公約に掲げ、新規の石炭火力発電所建設の凍結、及び再生可能エネルギーの全発電能力に占める比率を2025年までに31%に引き上げる。