イオンビッグ、HSBCから1.5億リンギのイスラム融資

【クアラルンプール】 小売りのイオン・ビッグ(マレーシア)は、HSBCのイスラム金融部門、HSBCアマナから1億5,000万リンギの融資を得た。運転資本に充当する。

共同声明でイオン・ビッグのシェイク・ファローク代表は「わが社の目的に合致した融資手法であり、会社としての成長、店舗拡大・改装を加速し、顧客にこれまで以上の価値を提供する」と述べた。イオン・ビッグはマレーシアで21店舗を展開しており、5日にはネグリ・センビラン州セレンバンで新店舗を開業する。

HSBCマレーシアのグローバル金融担当クリスティナ・チア氏は、「イオン・ビッグに対する初のイスラム式融資で、イオン・ビッグは業務に欠かせない運転資本にかかわる業務から解放され、マレーシア小売業界を変革するとの大望達成に注力できる」とした。

HSBCアマナのアミル・シャー最高経営責任者(CEO)によると、斬新なイスラム金融手法による資金調達意欲は内外顧客の間で高まっているという。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、エッジ、4月3日)

レゾナック、三井物産とCCS共同検討に関する覚書を締結

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 化学素材・機能材料のレゾナック・ホールディングス(本社・東京都港区)は2日、三井物産(本社・東京都千代田区)との間で、レゾナックの大分コンビナートで排出される二酸化炭素(CO2)を回収してマレーシア沖の地下へ貯留するCCS(CO2回収・貯留)に関する共同検討の実施について、覚書を締結したと発表した。

三井物産は、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)などとマレーシア沖でのCCSプロジェクトを共同で進めており、本覚書の締結は、同プロジェクトを貯留地として想定し検討するもの。レゾナックにおけるCCSおよび輸送などを含むバリューチェーンの構築を目指す。

三井物産のマレーシア沖でのCCS事業は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の先進的CCSに採択されており、早期実現性が高く、今後の効果が期待できると判断し、本共同検討に合意したという。レゾナックは大分コンビナートで排出されるCO2の分離・回収と液化・貯蔵、輸送事業者への引き渡しを、三井物産はマレーシアまでの液化CO2の海上輸送とマレーシア沖での地下貯留を担い、それぞれで必要な技術的要件の検証およびコストの概算などの検討を進めていく。

レゾナックは、「2050年カーボンニュートラル」に向け2021年に、2030年時点での温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を、「2013年比30%削減」と設定している。本共同検討を通じたCCSの早期導入検討をはじめ、脱炭素化に向けてあらゆる選択肢を検討することで、2050年カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指す。

火力発電のジェラ、ペトロナスとCCS事業化を共同検討へ

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 火力発電・ガス事業に携わるジェラ(JERA、本社・東京都中央区)は2日、国営石油会社ペトロリアム・ナショナル(ペトロナス)の子会社であるペトロナスCCSソリューションズ(PCCSS) との間で、JERAが日本国内で排出する二酸化炭素(CO2)の分離・回収およびマレーシアへの輸送・貯留の事業可能性調査について、初期的な共同検討の実施に関する合意書を締結したと発表した。

合意に基づき、同社が日本国内で排出するCO2の分離・回収、輸送方式や出荷・受入条件等の両国間輸送に関する検討、さらにマレーシアのガス田への貯留に至るまでのバリューチェーン全体を対象に、事業の実現可能性について共同で検討していく。

JERAは東京電力フュエル&パワーと中部電力との合弁会社。「JERAゼロエミッション2050」を掲げ、2050年時点で国内外の事業から排出されるCO2の実質ゼロに挑戦しており、CO2回収・貯留(CCS)事業の推進に向けて、CCS技術の評価、経済性等の検討を加速していく方針だ。

日揮、グリーン水素・MCH製造プラントの基本設計を受注

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 日揮ホールディングス(本社・神奈川県横浜市)は2日、海外で設計・調達・建設(EPC)業務を手掛ける全額出資子会社の日揮グローバルが、サラワク州でグリーン水素製造プラントとメチルシクロヘキサン(MCH)製造プラントの基本設計を受注したと発表した。

日揮グローバルは、ENEOS(本社・東京都千代田区)と住友商事(本社・東京都千代田区)がマレーシアで計画を推進する年産9万トン規模のグリーン水素製造プラントと、製造された水素をMCHに転換するプラントの基本設計を行う。

製造された水素のうち、年産2,000トンは地元の需要者向けに供給される予定。水素ガスの500分の1の容積であるMCHは、常温常圧の液体。貯蔵や輸送など取り扱いが容易なことが特徴で、日本の需要地に海上輸送する。

住友商事とENEOSは昨年12月、サラワク経済開発公社(SEDC)傘下のSEDCエナジーとマレーシアにおけるクリーン水素サプライチェーン構築に向け共同開発契約を締結していた。

長瀬産業、マレーシアの半導体加工製造に10億円投資

【クアラルンプール=アジアインフォネット】 長瀬産業(本社・東京都千代田区)は2日、マレーシアにおける半導体ウェハバンピング受託加工製造に10億円を投資し、設備を拡充すると発表した。

長瀬産業の子会社で、半導体および電子部品向け製造装置の販売や半導体ウェハバンピング受託加工製造を展開する独パッケージング・テクノロジー(パックテック)が、ペナンに拠点を置くパックテック・アジアに設備投資する。半導体ウェハバンピング受託加工製造装置を増設し、注力領域である半導体分野等の製造機能を強化する。スマートフォンや電子機器全般に使用されるウェハレベルパッケージ(WLP)受託加工市場でのシェア拡大を図る。

スマートフォンや電子機器全般に使用され、半導体の高度化や低消費電力化への寄与が期待されるパワー半導体等のニーズの高まりを受けたもので、新たに増設されるラインは2024年4月以降順次稼働予定。これにより生産能力が約1.5倍となると見込んでいる。

パックテック・アジアは、無電解めっき方式のWLPをコア技術としており、グローバルのWLP受託加工市場で世界有数のシェアを有している。無電解めっき方式のWLPは、低コストかつバッチ処理による大量生産に適していることから主にミドル・ローエンド製品向け半導体に使用されている。しかし近年では半導体の高機能化(複合化)や3次元化が進むなか、ミドル・ローエンド向けの半導体製造工程をハイエンド向けに使用する動きが検討されており、無電解めっき方式のWLP市場が拡大することが見込まれるという。