【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 中央銀行バンク・ネガラは3日、定例金融政策会合(MPC)を開催し、政策金利である翌日物政策金利(OPR)を1.75%で維持することを決定した。中銀は昨年7月に0.25ポイント引き下げた後は、1.75%で維持している。

中銀は声明の中で、マレーシアにおいて、新型コロナウイルス「Covid-19」感染拡大を防ぐために全国的なロックダウンが実施されたことで経済成長の勢いが弱まっていたものの、規制緩和に伴い、最新の統計では回復傾向にあることが示されていると説明した。来年は世界的な需要の回復、民間支出の増加、政策などに支えられて成長の勢いは加速すると予測。しかし世界の経済成長の回復が予想よりも遅くなること、サプライチェーンの混乱の悪化、新型コロナの変異株の出現などが依然ダウンサイドリスクとなっているとした。

今年のヘッドライン・インフレ率については、年初から平均で2.3%程度となっているとして、通年では2.0ー3.0%になると予想。コア・インフレ率は、経済の余力が引き続きあることや労働市場が低迷していることから、1.0%以下に引き続き抑制されるとの見解を示した。その上で、OPRを維持した理由については、現在の政策が適切かつ緩和的であるとして、経済活動をサポートし続けることができると説明。今後も最新の統計やインフレ率、経済成長の全体的な見通しなどを考慮して政策を決定し、持続的な経済回復のための環境を整備するとした。

一方で世界経済について中銀は、製造業およびサービス業の活動に牽引されて回復を続けていると指摘。ワクチン接種率上昇、規制緩和や財政・金融政策が導入が成長を下支えするとした。しかし新型コロナの変異種の出現、サプライチェーンの混乱、主要国の金融政策の変更に伴う金融市場のボラティリティ上昇がマイナスリスクとなっているとした。