コロナによる回復速度は予想以上に遅い=アナリストら

【クアラルンプール】 マレーシアの第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が大方の予想を下回るマイナス4.5%だったとことをうけ、アナリストらの間で新型コロナウイルス「Covid-19」で打撃を受けた経済の回復のスピードが予想より遅いとの見方が広がっている。
MIDFリサーチは、第4四半期には経済が再び上向く見通しだが、実体経済の回復がより緩やかとなっているようだとして通年の成長予想をプラス4.6%から3.7%に下方修正した。
第3四半期の大方の予想はマイナス1.3%で、MIDFはマイナス3.0%とやや悲観的な予想を示していたがそれも下回った。MIDFは3度目の行動制限令(MCO3.0)が長引いた影響が予想より大きかったと指摘。非必需産業の閉鎖、人の移動の制限を受けて個人消費と事業活動が冷え込んだことが響いたと分析した。
OCBCバンクは、第3四半期の大幅マイナス成長を受けてプラス3.6%としていた当初の通年経済成長予想を3.2%に下方修正。ただ経済・社会活動が開放に向かいワクチン接種率が全人口の76%に達していることから経済は回復傾向にあるとし、来年についてはベース効果も含めてプラス4.3%としていた従来予想を5%に引き上げた。
バンク・イスラムは、第3四半期のGDPが4.5%マイナスとなったことについて国内経済が行動制限などの手段による人間の移動の制限に対して非常に脆弱であることを示唆していると指摘。ただ第4四半期はプラス2 3%成長が予想されることから、政府が掲げている通年目標の3 4%は達成できるとの見方を示した。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、マレーシアン・リザーブ、11月15日、ボルネオ・ポスト、11月14日)

基本再生産数、8月31日ぶりに1を上回る=保健省

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)が11日、8月31日ぶりに1.00に超えた。その後上昇を続け、14日午後11時59分時点で1.05となった。
州・地域別でもっとも高いのはプトラジャヤで1.20。クアラルンプールで1.05、セランゴールで1.04、ネグリ・センビランとパハンで1.02、クランタンで1.01となった。それ以外のサバ、ペナン、ジョホール、マラッカ、ケダ、ペラ、トレンガヌ、サラワクは1.00を下回っている。
保健省のノール・ヒシャム事務次官は、新規感染者数は横ばいの状態が続いているが、R0は上昇しているとして、標準的運用手順(SOP)順守とワクチンの追加接種を受けるように呼びかけた。またカイリー・ジャマルディン保健相も追加接種を呼びかける共に、高齢者に対しては混雑した場所を避けるよう注意を喚起した。
マレーシア医師会(MMA)は新型コロナウイルス「Covid-19」感染症がエンデミック(風土病)段階に移行するとの報道に安堵しないよう注意を喚起。引き続き感染対策を実施するよう呼びかけた。

ケダ州、宝くじ店舗の営業を禁止

【アロースター】 ケダ州は、4桁の数字を当てる「4D宝くじ」の販売店について、今後営業許可の更新を行なわないと発表した。
ケダ州のムハンマド・サヌシ州首相は、ケダ州からギャンブルをなくす取り組みの一環だとし、ギャンブルは借金問題を引き起こすだけでなく、家族、ひいては文明さえも破壊するものだと強調。「宝くじを買いたいならペナンに行けばいい」と述べ、ギャンブル関連店舗の経営者は利益を得ているかもしれないが、ギャンブルの悪影響は非イスラム教徒にまで及んでいるとした。
サヌシ氏はまた、農村部での酒類販売制限についても計画しているが、非イスラム教徒が影響を受けないようにすると述べた。酒類販売が許可されているランカウイ島の免税店や無認可で酒類販売を行なっている店舗について州政府内で議論を行なった結果、これ以上公然とした酒類販売は望まないという結論に至ったという
(マレー・メイル、11月14日)

新型コロナの感染者数は5143人、ワクチン接種率は76%に

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は15日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は5,143人だったと発表した。累計感染者数は255万1,452人となった。
14日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,480万9,677人で、接種率は76.0%。成人の接種者数は2,229万7,446人で、接種率は95.2%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.05となった。
14日の新規感染者数は5,162人だった。5,019人が回復し、累計治癒者は245万1,216人。死者数は45人増え、累計で2万9,676人となった。アクティブ感染者は、98人増の6万5,417人。アクティブ感染者数のうち、78.0%が自宅、12.3%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、8.9%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。

セランゴール州でコレラ患者発生、全病院に注意喚起

【クアラルンプール】 セランゴール州保健局は、10月21日にコレラ感染者1人が報告され、州内の全病院および診療所に注意喚起を行なったことを明らかにした。
同州保健局によると、患者はセランゴール州ペタリン地区に住む56歳のマレーシア人女性で、重度の下痢などの症状が出たため民間医療施設で治療を受けた。検査でO1小川型のコレラ菌が検出されたため、飲食店を含めて女性の立ち回り先を調査したが、感染源は見つかっておらず他の感染者も見つかっていないという。
同州保健局は、コレラ感染拡大を防ぐため、全診療所で急性胃腸炎に対する監視を強化し、コレラの疑いのある患者の便を採取し検査を行なうことを指示。医療従事者は、検査によりコレラと判明した患者、あるいはその疑いのある患者が発生した場合には、24時間以内に電話・電子システムにより最寄り保健局に直ちに報告する必要があり、万が一報告を怠った場合には、「1988年感染症予防及び管理法」に基づく措置がなされる。
コレラ感染予防策としては、▽殺菌済みあるいは沸騰させた水だけを飲む▽衛生的な生活を心がけ、手をよく洗う▽疑わしい症状が出た場合、直ちに治療を受ける▽生の食品や調理が不十分な食品を食べないーーが挙げられており、医療従事者は一般市民にこれらを助言することが推奨されている。
コレラはビブリオ・コレラ菌によって引き起こされる腸管疾患。水を介して経口感染する。初期症状は、痛みのない水様便と嘔吐で、放置すると脱水症状や循環不全などを引き起こし、最悪死に至る可能性もある。
(バイブズ、11月15日、ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月14日)