日系テクスケム、来年は事業拡張を計画

【クアラルンプール】 日系テクスケム・リソーシズは、2020ー2021年は予算を抑制して運営してきたが、2022年は事業拡大を計画している。
テクスケム・グループの創業者で会長の小西史彦氏が英字紙「ザ・スター」に対して明らかにしたところによると、中核事業を拡大するために、来年は大規模な予算を設備投資に割り当てることを計画している。特に高分子材料科学部門と産業部門にフォーカスする予定だ。両部門は今年のテクスケム全体の売り上げの70%を占めると予想されており、その傾向が来年も続くことが見込まれている。
高分子材料科学部門では、ハードディスク・ドライブ(HDD)の包装材と部品を製造している。在宅勤務が増えコンピュータの需要が増えることで、今後もHDDの世界需要は拡大を続ける見通しだ。また同社は他の部門においても新製品を製造して商品化を行う。産業部門においては、ゴム手袋製造の材料となる化学物質についても、国内外から強い需要があるという。
一方でレストラン部門については、2020年には回転寿しレストラン「すし金」を21店舗閉鎖し、全国の店舗数は117カ所となっているが、テクスケムは750万リンギを投資して国内に10店鋪開設する計画だ。材料の高騰により厳しい状態にはあるが、8月より段階的な規制緩和により店内飲食が許可されたことで、見通しは明るくなったという。今後もブランドの刷新や、コスト管理、配送、キオスクなどでの販売などの戦略を継続する計画だ。
2021年9月30日締めの第3四半期決算の売り上げは、前年同期の7億4,700万リンギから7億6,360万リンギに回復。前年同期は1,200万リンギの損失を計上していたが、820万リンギの黒字を計上した。
(ザ・スター、11月8日)

イベルメクチンは重症化防げず、予防効果の確認試験へ

【クアラルンプール】 保健省(MOH)は5日、寄生虫駆除薬のイベルメクチンは新型コロナウイルス「Covid-19」の重症化を防げず、コロナ治療には使用できないと発表した。
臨床研究所(ICR)がカテゴリー2(軽症)、3(肺炎発症)の患者500人を対象に臨床試験を行ない、基礎疾患を持つ50歳以上の患者が発病後1週間以内にイベルメクチンの投与を受けることで、重症化を防げるかどうかを調べた。無作為に「標準治療のみを受けるグループ」「標準治療に加え5日間のイベルメクチン投与を受けるグループ」の2つに分けた結果、両グループの重症化には差がなく、ICU使用率、呼吸補助装置の使用率、回復率、血液パラメーター、胸部CT画像などの点でも有意な差は認められなかった。イベルメクチン投与者には下痢を中心とする副作用があったという
保健省のノール・ヒシャム事務次官は、イベルメクチンはコロナ重症化のリスクを低減しないため、現行の治療ガイドラインに含めることは推奨できないとし、さらに裏付けとなる証拠が得られるまではイベルメクチンを推奨しないよう医療従事者に対して注意を喚起した。
一方、MOHとICRは、イベルメクチンの濃厚接触者に対する感染予防効果について調べるため、早ければ来月にも臨床試験を開始する予定だと発表した。ケダ州、ペラ州、ペナン州、ペルリス州の医療施設10カ所で、18歳以上の濃厚接触者300人を対象に行なう。隔離開始後1日目と2日目にイベルメクチンを投与、隔離前・隔離開始後8日目にRT-PCR検査を実施し感染状況を調べる。現在、試験実施について国家医薬品規則庁(NPRA)の承認待ちの段階となっている。
イベルメクチン支持者は「イベルメクチンにコロナ感染予防効果がある」という主張を行なっており、本臨床試験にはその主張を確かめる意図があると見られる。
(フリー・マレーシア・トゥデー、ベルナマ通信、11月7日、ザ・スター、11月5日)

 

党が望めば再出馬の可能性も=マハティール氏

【クアラルンプール】 野党・祖国戦士党(ペジュアン)を率いるマハティール・モハマド元首相は、自身としては来年にも実施される次期総選挙への出馬を望んでいないが、党内から強く望まれれば出馬する可能性があると言明した。マハティール氏は現在96歳であり、当選して任期を全うすると100歳を超える計算になる。
マハティール氏は「VICEニュース」とのインタビューの中で、不出馬の意向にも関わらず多くの支持者らから次期総選挙への出馬を望まれているとした上で、自身の出馬によって党が躍進するとの期待が党内で高まった場合にはこれを拒否することはできないと言明。そうなれば最後の手段として出馬することもありうると述べた。
マハティール氏は1964年の初当選を皮切りに通算10回の当選を果たした。統一プリブミ党(PPBM)を率いて臨んだ2018年総選挙では、選挙区をランカウイに変えて出馬して当選していた。
マハティール氏はこのほか、マレーシアで認められていないLGBTの権利問題に関しては「マレーシアの社会は西洋と異なっているという事実に同意する必要がある」と慎重な見方を示した上で、環境や気候変動問題では若者世代と理念を共有できると述べた。
(フリー・マレーシア・トゥデー、10月5日)

新型コロナの感染者数は4543人、累計で250万人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は8日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は4,543人だったと発表した。累計感染者数は251万852人となった。
7日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,455万2,038人で、接種率は75.2%。成人の接種者数は2,219万4,116人で、接種率は94.8%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は0.92だった。
7日の新規感染者数は4,343人だった。5,190人が回復し、累計治癒者は241万2,395人。死者数は35人増え、累計で2万9,291人となった。アクティブ感染者は、882人減の6万4,623人。アクティブ感染者数のうち、78.8%が自宅、12.6%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、7.7%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに7カ所(職場で3カ所、コミュニティで3カ所、教育機関で1カ所)のクラスターを確認。州・地域別では、ジョホールとマラッカでそれぞれ2カ所、クランタン、サバ、ペナンで1カ所クラスターが発生した。

ペナンやペラなど5州、国家復興計画第4フェーズに

【クアラルンプール】 ヒシャムディン・フセイン上級相(兼国防相)は、8日付けでペルリス州、ケダ州、ペナン州、ペラ州、サバ州が国家復興計画(NRP)の第3フェーズから第4フェーズに移行すると発表した。第3フェーズはサラワク州とクランタン州のみとなった。
ヒシャムディン大臣によると、保険省と国家安全保障委員会(MKN)がリスク評価を実施し、第4フェーズに移行することを決定した。最新の標準的運用手順(SOP)については、ウェブサイト(www.mkn.gov.my)で公開している。
またヒシャムディン大臣は、8日付でワクチン接種完了者に対して、スタジアムやスポーツ施設でのスポーツ観戦を認めると発表。しかし施設内での飲食については引き続き禁止すると述べた。
一方で国外からの旅行者の隔離や検疫所については、これまでホテルが運営していたが、私営の隔離・検疫所が5日付で承認されたと言明。7日後からマレーシア国家災害管理庁(NADMA)が定めたガイドラインの下で、運営を開始すると述べた。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、11月6日、エッジ、11月5日)