第3四半期の不動産市場、提示価格上昇も供給量は減少

【クアラルンプール】 不動産売買サイトを運営するプロパティーグル・マレーシアが発表した第3四半期のマレーシア不動産市場指数(MPMI)によると、販売側希望価格が前年同期比0.92%上昇した。
希望価格は▽クアラルンプール(前年同期比1.56%)▽セランゴール(1.5%)▽ペナン(1.38%)▽ジョホール(0.15%)ーーと調査対象全地域で上昇し、経済再開による不動産市場の回復が伺えた。すべての地域で上昇したのは、2020年第2四半期以来、初めて。
不動産供給量は、今年第2四半期の11.94%増から第3四半期は6.51%減に減速。地域別では▽クアラルンプール(前期比7.3%)▽セランゴール(2.63%)▽ペナン(13.79%)▽ジョホール(13.36%)ーーと全地域で減少。新築物件の減少は、第3四半期に実施されたロックダウンで建設作業が停止し、引渡しや新規開発の開始も遅れたことが原因。中古物件の減少は、購買意欲の低下や住宅価格の下落圧力により、売り手が躊躇しているためだという。
カントリーマネジャーのシェルドン・フェルナンデス氏によると、最近の不動産価格の上昇は不動産セクターの回復を示唆しているもののパンデミック前の水準に戻るにはまだ時間がかかる見込みだ。第3四半期の不動産供給量の減少も、不動産業界がいまだパンデミックの影響下にあることを示しているという。その一方で、プロパティーグルのサイトでは、第4四半期に入ってから物件の掲載が増加しており、今後不動産価格が安定あるいは上昇を続ければ、年末までには回復が見込めるという。
フェルナンデス氏は、経済活動の再開や雇用・財務に対する信頼感、ワクチン接種完了者の増加に伴い、段階的に不動産市場は回復するが、パンデミックが完全に収束するまでは標準的運用手順(SOP)の順守など慎重な姿勢を維持すべきだと述べた。
(マレーシアン・リザーブ、11月19日)

ショッピングモールの入場SOPにばらつき、独自基準で

【ジョホールバル】 一部のショッピングモールは、国家安全委員会(NSC)が定めた標準的運用手順(SOP)に加えて独自の入場基準を設けているため、運用にばらつきが出ている模様だ。
マレーシア・ショッピングモール協会の南部支部によると、連邦政府・地方自治体からは、ショッピングモールへの入場に関して、新型コロナウイルス「Covid-19」情報・追跡アプリ「MySejahtera」でのリスク・ステータスが「低リスク」「日常的接触」である場合の入場を許可するよう指示されているという。ショッピングモール内の衣料品店、美容院、ヘアサロン、飲食店など、ワクチン接種完了が入場の条件となっている店舗については、各店舗への入場時にワクチン接種証明を確認することになっている
しかし、リスク・ステータスが「日常的接触ー無症状」の場合、入場を認めないショッピングモールもある。入場時にワクチン接種の有無を確認するかどうかもまちまちで、首都圏のショッピングモールではワクチン接種を完了した人しか入場できないが、ジョホール州にある同系統のショッピングモールではワクチン未接種でも入場できる。一方、ジョホールバルのプラザ・ペランギモールでは、「低リスク」のみ入場を許可し、「日常的接触」以上の場合は入場できない。ジョホールバル・シティスクエア・ショッピングセンターでは、ワクチン接種証明を提示し、かつ「低リスク」「日常的接触」である場合のみ入場を許可される。IOIモール・クライでは、SOP通りに入場を許可している。
買物客は、ショッピングモール入場前にMysejahteraアプリからQRコードをスキャンし、体温を測るという新習慣にすでに慣れており、買物客側のSOPは遵守されているという。
(ザ・スター、11月23日)

首都圏の公共交通機関1日乗り放題パス、12月1日に発売開始

【クアラルンプール】 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は22日、公共交通機関1日乗り放題パス「クルアガ・マレーシア(マレーシア家族)パス」を12月1日に発売開始すると発表した。首都圏クランバレーにおける観光振興や公共交通機関の利用促進を図る。
「クルアガ・マレーシア・パス」は、公共輸送機関を管轄する国営プラサラナ・マレーシアが導入するもの。一家族4人までを対象に土、日、祝日に、プラサラナが運営する軽便鉄道(LRT)、首都圏大量高速輸送(MRT)、モノレール、バス高速輸送(BRT)などのバスや電車を1日乗り放題とする。価格は15リンギで、4人で利用した場合は一人当たり3.75リンギとなる。
イスマイル・サブリ首相は、「マレーシア家族パス」導入の理由について、愛する家族と充実した時間を過ごして欲しいと説明。ショッピングモールに行ったり、観光地にも訪れて欲しいとした。
一方で、政府は中小企業(SME)事業者向けに、LRTクラナジャヤ線の▽スバン・アラム▽アラム・ステラ▽プトラ・ハイツ▽プチョン工業団地▽アワン・べサル▽IOIプチョン・ジャヤ▽プラザ・ラクヤット▽SS18ーー8駅において、小売スペースを低価格でレンタルする政策も来年3月をめどに実施する計画だ。詳細はプラサラナ子会社のプラサラナ・インテグレーテッド・デベロップメントかが近く発表する。
(ザ・サン、11月23日、ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、マレー・メイル、11月22日)

追加接種を「接種完了」の条件化する可能性も=保健相

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 カイリー・ジャマルディン保健相は22日、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチンの追加(ブースター)接種のスピードアップを図るため、追加接種をもってワクチン接種完了とみなす方向で基準を変更する可能性があると明らかにした。
カイリー氏は「ニュー・ストレーツ・タイムズ」の取材に対し、現時点では追加接種を奨励する活動を通じて接種率を上げているが、いまだに接種率は低いレベルにとどまっていると指摘。次の段階として「ワクチン接種完了」のステータスを得る条件に追加接種を含める可能性もあると警告した。カイリー氏は先ごろ、追加接種の予約通知が来たにも関わらず接種会場に現れなかった人が全体の40%に上るとして警告していた。
カイリー氏は、このところ新型コロナ入院患者が増加傾向にあることに言及し、ほとんどが濃厚接触した高齢者と基礎疾患がある人だと指摘。更なる感染再拡大を抑えて医療崩壊を防ぐためには追加接種が必要だとして、国民に追加接種を急ぐよう呼び掛けた。
CovidNowポータルによると、病床使用率は11月21日時点でトレンガヌ州が85.9%、クランタン州が83.3%、マラッカ州が81.2%と、3州で病床使用率が80%を超えている。ケダ州、ラブアン、ジョホール州も70%を超えて80%に近づきつつある。集中治療室(ICU)についてはプトラジャヤやセランゴール州など3州2地域で70%を突破している。
カイリー氏は前日の21日、移動制限が解除されたことからマレーシアにおける新型コロナのエンデミック(特定感染)化するのはまだ先になるとの見方を表明。感染再拡大に備えて、早期に予兆を検知するための強化された警報システムを近く導入すると発表した。

新型コロナの感染者数は5594人、2500万人がワクチン接種完了

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は23日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は5,594人だったと発表した。累計感染者数は259万7,080人となった。
22日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,501万1,232人で、接種率は76.6%。成人の接種者数は2,241万3,570人で、接種率は95.7%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.00で、前日と変わらなかった。
22日には5,628人が回復し、累計治癒者は249万3,437人。死者数は63人増え、累計で3万63人となった。アクティブ感染者は、前日から806人減の6万7,986人。アクティブ感染者数のうち、80.0%が自宅、11.0%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、8.2%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに7カ所のクラスターを確認した。クランタンでは教育機関2カ所と職場で1カ所、セランゴールではコミュニティと職場でそれぞれ1カ所、サバとジョホールの職場で発生。これまでに確認されたクラスターは5,888カ所で、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は233カ所に減った。