労働力不足でホテル経営者と労組が対立、来年の観光客受け入れ控え

【ペタリンジャヤ】 来年1月から本格的に観光客の受け入れが再開されるのを控え、ホテル業界で労働者不足をめぐり経営者側と労組に意見の衝突が見られる。
マレー半島ホテル・バー・レストラン労組のルスリ・アファンディ事務局長は、国民はホテル労働に関心があるが、ホテルは低賃金で雇える外国人を雇用する傾向が強いと指摘。「外国人客はマレーシア人労働者からマレーシア文化を感じたいと思っている」と語った。
マレーシア・ホテル協会(MAH)のN.スブラマニアム会長は「従業員不足のため業界は来年の国境再開に十分対応できない。国民はホテル労働を汚くきついとみており、これが労働力不足の原因だ」と語った。
ルスリ氏は、国民がホテルの仕事に関心を持てるような報酬体系にすべきとの意見だが、MAHのヤップ・リップセン最高責任者は、若い世代は望みが高すぎると反論した。
(フリー・マレーシア・トゥデー、11月19日)

サラワク州版のMM2H、申請者の分類化・手続き簡素化を検討

【クチン】 サラワク州政府は、独自基準で行っている外国人の長期滞在を奨励する「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」プログラムについて、申請者をグループ別に分類して申請手続きを簡素化する方針だ。ティオン・キンシン中国担当首相特使が明らかにした。
同州政府はMM2Hのサラワク州版「S-MM2H」において、▽退職者▽教育▽医療観光▽投資ーーなどで分類する方向で検討している。ティオン氏によると、同プログラムでは元々は退職者を対象としていたが、申請者グループごとに明確なルールがないことで混乱を生じていた。また同州は、申請者が特定の価格帯の住宅を探す際の利便性を考慮し様々な地域に対応した不動産購入パッケージについても検討する。
MM2Hは今年10月から新規受付を再開したが、新規申請者を対象に▽ビザ有効期間の10年から5年への短縮▽年間ビザ料金引き上げ▽年間90日間のマレーシア滞在義務化▽海外所得が4倍の4万リンギに引き上げ▽35万—50万リンギだった銀行定期預金額が100万リンギに大幅引き上げーーが盛り込まれた。一方、サラワク州は「S-MM2H」を今後も維持する方針を発表。以前のMM2Hの条件に近く、他州に在住することも可能である「S-MM2H」に注目が集まっている。
(ニュー・ストレーツ・タイムズ、ボルネオ・ポスト、11月19日)

12月1日付けでサバ州渡航に検査不要、ワクチン接種を条件に

【コタキナバル】 サバ州のハジジ・ヌール首相は20日、新型コロナウイルス「Covid-19」ワクチン接種完了者に対し、12月1日付けでスクリーニング検査なしのサバ州入境を許可すると発表した。サバ州が8日、国家復興計画(NRP)の第4フェーズへ移行したことを受けての決定。
ハジジ州首相は、サバ州への海外客の受け入れに関しても、来年の国境再開と同じタイミングで開始できるとし、11月までに▽クアラルンプール▽ジョホールバル▽ペナン▽コタバル▽ラブアン▽サラワクーーからサバへの週266便の直行便がすでに就航し、総座席数は4万3,000席、州内でも▽コタキナバル▽ラハドダトゥ▽サンダカン▽タワウーーを結ぶ便が週123便就航、総座席数は1万6,720席となっていると強調。さらに、2022年には宿泊需要の急増に対応するため、州内にホテル11カ所が新規オープン、3,506室が追加されるとした。
また、国内外向けの「サバ州観光復興計画」を進めており、サバ州観光局(STB)が観光業界と協力の上、オンライン化や旅行博、プロモーション、最新情報提供などに関するトレーニングを実施。STBは、▽中国▽韓国▽ノルウェー▽インドネシア▽ブルネイ▽インド▽イタリア▽カザフスタン▽トルコーーといった国を対象に、B2B(企業間取引)やG2G(政府間取引)による貿易再開やこれらの国からの観光客再獲得も目指す。航空会社とも協力し、国内外からの直行便の再就航も支援するという。
サバ州の観光産業はパンデミック前には好調で、2019年には410万人の観光客が訪問、総収入83億4,200万リンギ、観光税収は1,200万リンギだった。
(ベルナマ通信、フリー・マレーシア・トゥデー、11月20日)

マラッカ州議選、同州与党のBNが地滑り的勝利

【マラッカ=マレーシアBIZナビ】 事実上3つの政党連合による争いとなったマラッカ州議会(定員28)選挙の投開票が20日に行われ、同州与党の国民戦線(BN)が21議席を獲得し政権を維持した。投票率が65.85%と2018年総選挙の84.52%から19ポイント近く下がった事が無党派層に強い野党連合・希望同盟(PH)に不利に働いた。
新型コロナウイルス「Covid-19」対策で選挙活動に制限が設けられる異例の状況下、BNは構成第一党の統一マレー国民組織(UMNO)が18議席を獲得するなど、組織力を生かした戦いぶりで大勝。これに勢いづいた党内において次期総選挙の前倒し実施論が強まることが予想される。
国政でBNと共闘関係にあるものの選挙協力協議で決裂した国民同盟(PN)は、BNと同じく全選挙区に候補者を擁立したもののわずか2議席の獲得にとどまる惨敗を喫した。ケダ州政権奪取で勢いづいているPN構成党の汎マレーシア・イスラム党(PAS)は8戦全敗に終わった。
BNとPNがそれぞれ別々の候補者を擁立することになったことで戦前の予想で有利が囁かれていた野党連合PHだが、同じく28人を擁立したものの5議席にとどまった。PHを率いるアンワル・イブラヒム元副首相が党首を務める人民正義党(PKR)は11戦全敗。州議会解散の発端となった与党からの鞍替え議員を受け入れる意向を示したことが有権者の反感を買った。
永年BNの独壇場だったマラッカ州議会は、2018年総選挙でPHが政権奪取に成功したが、2020年2月の政変でPH構成党だった統一プリブミ党(PPBM)が離脱。PH構成党内からも鞍替えが相次いだため第一党に返り咲いたBNが政権を奪回した。しかし今年10月、与党系議員4人がスレイマン・モハマド・アリ州首相への不満により政権から離脱。過半数を割ったことから同州元首であるモハマド・アリ・ルスタム知事が議会解散を宣言していた。

新型コロナの感染者数は4885人、死者数が3万人超える

【クアラルンプール=マレーシアBIZナビ】 保健省(MOH)は22日、新型コロナウイルス「Covid-19」の新規感染者数は4,885人だったと発表した。累計感染者数は259万1,486人となった。
21日午後11時59分時点のワクチン接種完了者数は、2,498万505人で、接種率は76.5%。成人の接種者数は2,239万580人で、接種率は95.6%となった。1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す基本再生産数(R0/RT)は1.00に下がった。
21日の新規感染者は4,854人。5,525人が回復し、累計治癒者は248万7,809人。死者数は24人増え、累計で3万2人となった。アクティブ感染者は、前日から695人減の6万8,790人。アクティブ感染者数のうち、80.0%が自宅、11.3%が低リスク者用隔離・治療センター(PKRC)、7.9%が医療機関、0.8%が集中治療室(ICU)で療養中となっている。
また新たに3カ所のクラスターを確認した。ジョホールとラブアンのコミュニティ、サバの職場で発生。これまでに確認されたクラスターは5,881カ所で、現在感染者を出し続けているアクティブなクラスター数は235カ所に減った。